小学生くらいの時、春休みと夏休みと冬休みがあるのに、なぜ秋休みだけがないのか不思議に思っていた。休みが大好きな僕としては不思議がるというよりも、怒りのようなものを感じながらそう思っていた。その時の先生は、1年は3学期までしかないから休みが3つしかないと言っていたけれど、それなら4学期にしてでも秋休みをつくるべきだとさえ僕は思っていた。
  成人した今は怒っているわけではないけれど、やっぱり秋休みがない理由はよく分からない。でも、秋という季節を知って、自分を何とか納得させられる理由が見つかったかもしれない。

 秋の季語で「爽やか」という言葉を見つけた。どの季節にも「爽やか」はあるけれど、秋に一番ぴったりな言葉だと思って凄く納得した。夏よりどこか大人っぽくて、冬ほど無口ではなく、春よりも落ち着きがある。そんな秋は爽やかだ。そして、この爽やかさに包まれて過ごすと、心はとても安らいでいく。真剣にロクロを回している時でさえ、心は休憩しているようだ。




 さらに、秋は収穫の季節。あくせく働いて汗を流さなくても、新鮮な食料が豊富にある季節。収穫したての作物、木には栗、川には鮭、山には松茸。食べなくたってそれらがあると思うと、これもまた心が安らぐ。
 いろんなことから心が安らいで、いつも気持ちに余裕が持てる季節。一年中見られる月だって、この季節だけはゆっくり見ようと思える。

 何をしていても心の安らぐ秋だから、休みなんて要らないのかもしれない。…と、秋休みのない答えを強引に見つけ出した。けれど、小学生時代の僕だったらきっとこんな理由では納得していないだろうと思う。




 

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