春から育てた田んぼの生長の証を、口にしてホッと一息ついたと思えば、今年ももう残すところ1ヶ月。
 村を囲む里山の木々が丸裸になり、北風を簡単に通すようになった。その風は、村を駆け抜ける度、秋が残していったものを連れ去っていって、冬を連れて来る。次に来たときは雪を連れてくるのだろうか?いつもそう思っていた。

 雪が積もれば、いつも簡単に出来ていたことが、かなり困難な作業になってしまう。今年だと、登り窯まで歩いて行くことがそうだと思う。たったあれだけの坂道を歩くことが、長く険しい道のりを旅するようになってしまう。母屋でタオルを首に巻いて、軍手を二重にして、気合を充分にして、旅に出かける。それでも道中ズボンの裾が急に凍りだしたりすると、直ぐくじけそうになってしまう。




 陶器が焼ければ、それらもリアカーに積んで運ばなければならない。想像するだけでもくじけそうだ。
 けれど雪が積もっても、苦労が増えるばかりじゃない。畑にある白菜は、雪が積もれば凍み白菜に変身して、またあの深い甘味のある味噌汁が味わえる。雪合戦も雪だるまもできる。動物たちも雪は大好きだ。

 そんなことで、僕は北風を見たとき不安と期待の両方の想いを込めて「明日くらいに、降りそうですね」といつも誰かに言っていた。
 そして今週末、DASH村に初雪が降った。




 

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