まとまった雪が降って、村はまた銀世界となった。土の上にも、茅の上にも、瓦の上にも、氷の上にも、上には必ず雪。そんな雪の上、誰も踏み入っていない新雪をドカドカいわせて歩くのはとても気持ちがいい。冬のささやかな楽しみの一つだ。

 里山の動物たちは、それを楽しんでいるのかは分からないけれど、僕と同じように雪の上を歩き回っているみたいだ。昨年の冬よりもいろんな動物が里山を行き来しているようで、その証拠の足跡は里山の至るところで見ることができる。

 雪が降って間もない時でも、新雪の上にはちゃんと足跡が残っている。これ程頻繁に多くの動物たちの足跡を見るのに、どういうことかバッタリ出くわすことは全くない。動物たちにしてみれば、僕たちに出会ったところで何の得もないだろうからそれを避けているのだろうか?敵と見なされているようで少々切ないけれど、足跡を残していることは、この村の住人だと主張しているようで嬉しく思う。自分たちで山を管理した甲斐があったというものだ。
荒地に人が住み、囲む山が里山と呼べるようになり、そこに動物たちが棲み付き、増えるようになった。雪の上に残った足跡は、そんな僕たちの足跡とも言える。




 まだまだ雪が多くて寒さも厳しい村だけど、先週で立春を迎え、同時に節分の日を迎えた。毎年恒例の豆まきと、DASH村では初めての恵方巻きを食べることになった。恵方巻きとは、恵方に向かって無言でのり巻きを一口で食べると願い事が叶うと言われている。

 僕はいろんな思いを込めながらのり巻きを作って食べたのだけど、のり巻きが大き過ぎたらしい。いつの間にか、無事にこののり巻きが喉を通ってくれることを願っていた。無言を貫き通したおかげで何とかその願いが叶ったけれど、折角の恵方巻きを苦しくなりながら食べてしまったことは反省しなければならない。




 

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