立夏を過ぎて黄金週間も過ぎ、五月も半ばにまでなってしまった。けれど、例年と変わらぬ美しい花を僕らに見せてくれた。生きようとするからこそ咲かせる、この一輪一輪の桜の花との再会に、今年もまた心を打たれる。 |
雨が多く、気温も低かった4月。樹齢50年以上の老木にとって、きっと辛い時期だっただろう。寿命が近づく桜の木は弱る一方だけど、幸運にも僕らにできることがあった。浜で採った貝殻や、アイガモの卵の殻や糞が、桜の花を咲かせる手助けになる。出来ることを全てやり終えると、前より不安は薄らいだけれど、それでもまだ安心は出来なかった。もしかすると何をやっても無駄なのかもしれない。そう思った。でもその思いは、膨らむつぼみと一緒に消えていって、日に日に期待ばかりが膨らんだ。そして、期待通り咲いた桜。いろんな感想があるけれど、一番はまた出会えて嬉しいということ。 |
この村の桜が咲くのを、4回見てきた。毎年多くを感じさせられるこの桜の木との出会いは、僕にとってとても大きなこと。まるで、今までなかったものが、心の中にある。そんな感じがしている。 |