DASH村が少し狭くなったような気がする。原因は里山。新緑の成長は勇ましく、村を包み込むかのような勢いだ。
  山の向こうの空も、里山自身の土の茶色も最近まで見えていたもの。それが急に見えなくなった。里山へと入る井戸の近くの細道さえも、遠くから見ればただの黒い陰にしか見えない。

 空も土も道も消えた訳ではないのに、いつもの場所から見えないのは少しだけ物足りなさを感じてしまう。故郷の風景が、新しいものとすり替えられていた、ほんの一瞬そんな時の気持ちになった。
  好きでも嫌いでもない、ただただいつも傍にあった風景。それを僕の知らないところで誰かに持ち去られたようだった。自分のものでもないけど、勝手なまねをされて嫌な気分になった。




 でも、すり替えられた新しい風景の中には、無くなったものもあれば、今までになかったものもある。DASH村の場合その新しいものが、この村の季節の証であり、里山の健康の証であり、木の生きる証であり命そのものでもある。だからこれは喜ぶべきことなのだと思う。故郷の風景の新しいモノも、これほど素晴らしい意味のあるモノだと、それもまた喜ぶことの出来る風景なのかもしれない。

 移ろう季節の中では、風景も移り変わるのは当たり前で、必要なこと。村の桜の花が散り、葉桜になったこともそう言える。物悲しさもあるけれど、葉桜になることが出来たことはもっともっと喜んでもいいことなんだと思う。

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