秋が旬の栗。その栗の木がこの夏はとても目立つ。いつも同じ場所にあるのに初めて見たような気がしてしまうほど、例年とは違った様子で目に映り込んでくる。

 栗の花は淡い黄色で、クリーム色とも呼べそうな温かみのある色。緑色ばかりの里山の中にあるその色は、一見白色だと言いそうになるけれど、村のあちこちに点在するハルジオンの白色と比べるとはっきり黄色を帯びているのが分かる。




 
 色こそ大人しい印象を受けるけれどその花の咲かせ方はとても賑やか。まるで一本の栗の木はひとつの打ち上げ花火だ。地響きと爆発音も聞こえてきそうなほど、栗の木は真夏の賑わいを上手に真似ている。そうすると、イガイガに包んで焦げ茶色の実をポトリと落とすのは、線香花火の最後。夏が終わりを告げる頃、栗の木はそこでも季節に応じたソックリな真似事をしていた。  とにかく今までにないほど綺麗に咲き揃う栗の花。その実もきっと今までにないほど多く実らせてくれるのではないだろうか。

 一方、実らせなければならない畑では、他の作物より毎年一足早いキュウリが今年もまた収穫間近まで大きく生長した。茎の根元の方で実るキュウリを見ると、食べなくてもそれだけで嬉しくなってしまう。いつも食べている野菜が生き物だということ、それが元気だということ、それが分かるだけで本当に嬉しい。そしてこのことは、DASH村ではないどんな場所でも、どんな時でも感じていたいこと。スーパーで買っても、調理されて目の前に出されても、この今のキュウリみたいに空の下、地面と繋がっていた時のこと思い、今の気持ちを大切にしていたい。

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