はじめまして、新村人の「安部景子(あんべ けいこ)」です。今週から保原さんにかわり日記を書くことになりました。保原さんのように情緒的で綺麗な文章は書けないかもしれませんが、皆さんに楽しく笑って元気になってもらえるような日記が書ければと思います。よろしくお願いします。

 村もようやく長い梅雨を終え夏らしくなってきた。梅雨明けと共に畑のひまわりが満開となり、負けじと母屋前の朝顔もたくさんのラッパを咲かせている。どうやら北登にはラッパの音が聞こえるのか、引き込まれるようにじっと朝顔を見つめている。それぐらい夏の朝顔は綺麗で美しい。1年間を通して美しい時が1度もない私からしたら本当に羨ましい限り。しかも土と水さえあれば綺麗になる。結構努力している私が綺麗にならないのがなんだかむなしい。まあ、元が元だけに仕方がないと諦めているが1生に1度ぐらいは綺麗に咲きたいものだ、などと思いながら北登の散歩していると、朝顔以外にも綺麗に色づいているものを見つけた。




 

 それは「桃」。ほのかに赤みがかっている桃もまた綺麗。この美しさも北登であれば気づいてくれるはずと信じていたが、彼は桃を見つめるどころか桃の存在にさえ気づいていなかった。なんだか少し寂しかった。
  しかし、北登以上に鈍感なヤツがいた。それは「八木橋」。周りの美しさを気にかけることもなく、常に草を見つめている。あんなに見つめられたら草もはずかしくなるのではないかというぐらい。おそらく八木橋はいち早く夏を通り越して、食欲の秋を迎えてしまったのだと思う。


 だけど、正直なところ私も八木橋のことを言える立場ではないと思った。桃を見た時「綺麗」よりも先に「おいしそう」と思ってしまったから。だから八木橋のことを責めることはできない。周りに大好きなケーキがあれば私だってケーキばかりを見つめてしまう。八木橋にとって牧草地はすべてケーキみたいなもの。そう考えると、八木橋が羨ましい。毎日ケーキバイキングに行っているようなものだから・・・私も山羊になりたい。

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