最近は本当に梅雨というものがあったのか疑いたくなるほど晴天が続いている。
  晴天だけならいいのだが、今だかつて味わったことのない暑い日が続いており、毎日お経のように「暑い暑い」と唱えてしまっている。不思議なことに「暑い」と唱えるともっと暑くなり、かといって「寒い」と言ってもやっぱり暑い。この暑さどうにかならないものだろうか。田んぼの合鴨達も仕事をほっぽり出して水浴びをしている。

 北登もこの暑さにはまいっているようで、動こうともしない。梅雨の間あれだけ待ちわびていた散歩にも行きたがらず、少しでも汗をかかないよう、疲れないよう日陰で昼寝をしている。ときどき、あまりにも動かないので生きているか死んでいるのか心配になるぐらい。それぐらい暑い。 




 できるなら私も北登と一緒にお昼寝をしたいところだが、そういうわけにもいかない。作物の水遣りなど暑い中やらなければならない作業もあり、滝のように汗を流しながら、アブにさされながら日々働いている。
  そんな中「誰かが私を見ている」という視線を感じ、後ろを振り返ると八木橋がじっ―っと私を見ていた。

八木橋も、さすがにこの暑さで、毎日小屋の中でぐったりとしている。しかし、マサヨが鳴くと急に立ち上がる。もう夫婦になって6年になるのにまだまだアツアツでマサヨに呼ばれれば暑いのに近寄っていく。夏でただでさえ暑いのにもっと暑くなる、本当に勘弁して欲しい、そしてなんだか羨ましい。こんな気持ちを抱いているのは私だけかと思っていたらそうでもなかったみたいで、新婚の「晴男」が小屋から顔をのり出し羨ましそうに八木橋小屋を眺めている。どうやら結婚してからまだそんなに経っていないのに既に晴男はリンダの尻にしかれているみたい。もう少し晴男には頑張ってほしい。頑張れ晴男!!そして私も頑張らなければ・・・・それにしても暑い。

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