穂が出始めたばかりだと思っていたススキがあっという間にわたげのようになってきた。その姿はまるで、寒くなる季節に向けての冬支度をしているかのよう。
  このススキには「活力」「努力」という花言葉があり、生命力が強いことからこの花言葉がついたそうだ。だからお月見の時にも作物の豊作や健康を祈ってお供えするらしい。

 そう言われて見るとススキは確かに強い。秋雨前線の影響ですごい風雨だった時、稲は少し倒れてしまったけれど、ススキだけは一本も折れずに立っていた。そして、わたげもしっかりと残っていた。本当に強い。さらにススキは強いだけでなく、「美しい」からすばらしい。秋風に吹かれているススキは太陽に輝く稲に負けないくらい美しい。「強くて」「美しい」人なんてなかなかいない。もしいたらパーフェクト人間だと思う。私もススキになれればな・・・と考えたけれど、今年にはいってすでに山羊・桃・キアゲハなどなりたいものが多すぎて、ススキになれるのはおそらく4回目に生まれ変わった時だと思う。
残念。




 その秋風に揺れているススキを見ていると、私も風と散歩がしたくなった。北登も一緒に連れて行ってあげようと迎えに行くと、北登の頭に何か妙なものが見えた。

 さらに近づいてみるとなんと頭に「イチョウ」の模様がはっきりと浮き出ていた。春・夏には全くなかった模様が秋になり急に出てきた。これは秋だからか?それとも心霊現象?色々考えてみたけれど、秋だから出るのは100%おかしい。冬毛に生え変わったとしても、なぜ「イチョウ」なのか? しかし考えたところでどうにもならない、北登もいたって健康なのでこう思うことにした。

おそらく北登も秋を楽しみにしていて、その気持ちが頭に出てしまったのだろう。それにしてもなぜイチョウなのだろうか、北登なら「さんま」のほうが良かったのでは・・・

前の週 次の週