月明かり輝く冬の夜。 まぶしいぐらいの強い光に誘われ、思わず空を見上げた。
  すると、画に描いたような「満月」が私の目に飛び込んできた。満月は凍てつく夜を溶かすようにキラキラと輝いていた。その光は村全体を明るく照らし、まるで舞台のスポットライトを浴びているかのよう。

 そのおかげで夜の作業も楽しくなる。北登の散歩もランタンを持たなくていい分、おもいっきり走ることができる。山奥の炭小屋へ行く時も、夜なのにぜんぜん怖くない。おそらくこの明るさでは熊も出てこないだろう。本当に満月には感謝してもしきれないくらい。
  さらに、明るいだけで終らないところが満月のすごい所。満月は人の心を癒し、元気づけてくれる。人は半月や満月でない時は空を見向きもしないが、満月に限って「今日は満月だね」と空を見てしまう。そしてなんだか心が安らぐ。本当に不思議な力を持つ光。




 そして、満月の光はなんだか温かく、優しい。クリスマスのイルミネーションも明るく綺麗で人を楽しませてくれるけれど、やっぱり満月の明かりが一番。人間の力ではだせない「色」と「輝き」、どうしたらこんなに綺麗に輝けるのだろうか、できれば教えてほしい。

 そんな綺麗な満月をよそに、仲良く包まって眠っている晴男とリンダがいた。どうやらこの2人には満月の明かりや温かさなど必要ないみたい。それにしても夫婦仲が温かくなってきているみたいで本当に良かった。

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