眩しいほどの太陽の光。目を閉じても感じる優しい光。
それは既に春の光となり、村の里山を照らしている。
  暖かな光に誘われ、梅のつぼみも徐々に膨らみ、いち早く花を咲かせようとしている。 溜め池の底では、カエル達が太陽の光を浴び気持ちよさそうに眠っている。本当に春のよう。

そんなカエルを見ていると、つい私も眠くなってしまう。
 暖かい昼間に比べ夜は一転、冷たい空気が村を包み囲炉裏の火が恋しくなる。 しかし、そんな寒い夜も元気に動き回る新しい村の住人がいた。それは「テン」。




「テン」なんて見たことがないという人のほうが多いかもしれないが、イタチを大きくした感じの動物。目がクリクリとしていてとてもかわいい。体は鮮やかな黄金色で、木登り上手。そんなテンは、去年の冬も村の里山には来てくれてはいたけれど、住んでくれることはなかった。しかし、今年はテンが餌とするヒメネズミやヒミズなどの動物が増えたこともあって村を気に入ってくれた。そして、何よりも私達が作った巣箱を気に入ってくれたみたい。本当に良かった。

 守山先生の「里山の生態系づくりには人間の手も必要」という言葉は本当にその通りで、人間と里山の動植物共存のためには、お互い助け合うこと、思いやることが重要なのだと改めて感じた。そしてそれは動物に限らず、人間同士にも言えること。
 この冬村に新しい仲間が増えたところで、そろそろこの2人にも新しい仲間ができてもいいはずなのだが・・・「晴男」と「リンダ」の子供が早く見たいけれど、私には祈るしかない。

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