桜のつぼみに滴るきれいな雫。
それはキラキラ光る「雨の雫」。
濡れたつぼみは一段と鮮やかになり、美しく見える。

 暖冬のせいか冬なのに「雨」が降り、冷たく寂しい空気が村を包み込む。
それにしても村で「冬の雨」なんて珍しい。
お天道様が気を使って、「雪」のかわりに「雨」でも降らしてくれたのだろうか・・
だとしても、冬はやっぱり雪を降らしてほしい・・・
 村の植物達は、そんな冷たい雨を「春を告げる雨」と勘違いしたのか春の準備をし始めてしまった。




 風呂下の「石垣いちご」は、白くてかわいい花を咲かせ、水飲み場の下の「ふきのとう」もいくつか顔を出しはじめていた。
 さらに田んぼの土手には春を告げる幸せな花「タンポポ」が咲き始めていた。
いつもなら、まだ寒さから花を守るように花茎を伸ばさず、地面に張りついているのに。
黄色い冬のタンポポは、春のタンポポより背丈は低く、余りの暖かさに生長しきれず咲いてしまったような感じ。

 このままいくと、早く春が来て私の嫌いな夏も早く来てしまいそう。なんとかしていつもの村に戻ってくれないだろうか・・・

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