ほんのり冷たい風に漂う早春の香り。 里山の木々の隙間を潜り抜け、私の元に届く甘くて優しい香り。そんな匂いをかいでいると自分もなんだか優しい気持ちになれる。こんな優しい香りがこの時期に漂うのも暖冬のせいだろう。 |
つかさの小屋の前には春の野草「オオイヌノフグリ」が既に小さな花を咲かせている。 青い花はキラキラと輝き、まるで夜空に輝く星のよう。 こんな優しい春の香りも数日前までは、強くて寒い冬の風だった。 強い風は7年目を迎えた母屋の屋根の一部を吹き飛ばし、八木橋小屋の屋根までも吹き飛ばす勢いだった。 |
そんな気持ちを分かってくれたのか、八木橋は自分の角で屋根を叩いてきてくれた。しかし、その勢いはなんだかおかしい。よく見ると、いつもの角磨きだった。なんだか悲しかった。でもマサヨは分かってくれているようで、おとなしく小屋の中で待っていた。 マサヨ、これからも八木橋を頼みます。そして、その温和な心で晴男リンダ夫婦もやさしく見守ってて下さい。 |