雨の少ない梅雨空の下、この間まで緑色だった小麦の穂は、すっかりこがね色。
小麦をじっと見ているとなんだか稲穂のように思えてくる。そんな小麦から漂う香りもまた格別。

 小麦収穫時期には「麦秋(ばくしゅう)」という特別な名前が付けられている。これから夏を迎えようとしているのに、なぜ「秋」なのだろう。  
 調べてみると麦秋の「秋」には、季節の秋ではなく「作物の収穫」という意味が込められているかららしい。
 また、「麦秋」という言葉は、初夏の訪れを示した季語としても使われる。でもやっぱり初夏なのに「秋」と言われてもという感じがする。どうせなら「麦実(ばくじつ)」とかのほうが分かりやすくて良かったのではないだろうか。でもあの小麦の色を見ていると、「秋」を連想してしまうのも分かる。




 一面に広がるこがねの穂を見ていると、梅雨であることを忘れてしまう。むしろ、夏を越えて秋が来たと思ってもしょうがない。そう思うとやはり「麦秋」は正しいのだろう。
 そんな小麦の近くで「さくら子」と「うめ吉」が興味津々に小麦の匂いをかいでいる。
きっと小麦の観賞より食欲なんだなっと思ったら、青草茂るつかさ小屋の屋根にさっさと行ってしまった。どうやら2匹の仔山羊達には小麦はまだ早いみたい。

小麦からできるのはパン、うどん、そうめん、お好み焼きにピザに…と様々。  
大人の私はこれから食べられる麦料理を想像して楽しもう。

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