風に秋の気配が漂いはじめ、ヒグラシの声も遠くなってきた。
そして耳をすませば、色々な秋の足音が感じられる。
 ススキは背丈も高くなり、気持ちよさそうに風に揺れている。やはりススキを見ると、秋だなという感じがする。

 一方田んぼでは、少しずつ赤トンボが目立つようになってきた。オニヤンマをはじめとした夏のトンボ達も綺麗だけれど、やはり赤トンボほど美しいトンボはいない。夕焼けのように輝く茜色。夢中で見つめてしまう。




 美と言えば、今年の桃は見た目も美しく、味も今までにないくらい甘かった。その上豊作で毎日2個は食べられた。桃が大好きな私には天国のような日々だった。しかしお盆の頃に食べ始めた桃も秋が近づいた今では、残り少なくなりそろそろ食べおさめの時期となった。暑い夏は嫌いだけれど、桃が食べられなくなると思うと、残念でしょうがない。秋にも桃があったらいいな、とも思うけれど、そうなると桃への有難みも減る気がする。だから来年の夏までこの桃への思いは、心の中に閉まっておこうと思う。

 もう一人、桃ではないが夏を惜しんでいる住人がいた。それは「北登」。夏への名残があるのか、今頃夏毛が揃ってきた。みんな夏を惜しんでいるみたい。

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