思わず空を仰いで、眺めたくなる秋空。
「うろこ雲」が空一面に広がり、里山のヤマザクラの葉はほのかに赤く紅葉し始めている。夏の草花もいいけれど、秋の木の葉は一枚ごとに表情が違っていて面白い。

 「暑さ、寒さは彼岸まで」と言うけれど、いまだに真夏のような暑さが続く村は、残暑のまま冬になりそうな勢い。涼しい秋を望みつつ過ごす日々。
 そしてそんな夏の名残は暑さだけではなく、夏の風物詩の朝顔が、今も元気よく咲いている。




 母屋の縁側の脇でひと夏を越えた朝顔たち。
 朝露をまとい夏の朝日に輝く朝顔も綺麗だけれど、秋の朝顔にもまたそれなりの魅力がある。
 真夏の朝顔に比べると大きさはややこぶりなものの、花の色は深みを帯びている。ライトブルーだった朝顔は深い青色になっている。それも吸い込まれそうな青色。そんな朝顔を見ていると、なんだか安らかな気持ちになれる。

 でも、その一方でなんだか少し寂しい気持ちになったりもする。こんな季節はずれに咲いて、本当は真夏に咲きたかったかもしれないと思ったら、なんだか可哀想に思えてきたが、そんな憂いを帯びた朝顔も秋だなという感じもする。
 そう考えると実は、朝顔は夏よりも秋のほうが似合うのかもしれない。思い立って調べてみると古典における朝顔は秋の花らしい。夏の花だと勝手に決めつけていたのは私の勝手な思い込みに過ぎなかったということか。
 いずれにせよ今年は、夏も秋も綺麗な朝顔を楽しめた。それだけは残暑に感謝したいと思う。

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