「秋の日は、つるべ落とし」とよく言うが、ここ数日で一気に日暮れが早くなった。
夏の感覚で、いつものように畑仕事をしていると、まわりがあっという間に暗くなる。
 そして、暗くなると同時に一気に寒くなる。夜は、秋というより冬の寒さで、長袖を着ないと風邪をひいてしまうほど。

 反対に昼は秋というよりは夏の暑さ。でも夏と違って、ひんやりとした風が秋にはある。
それが秋ならではの風で、秋にしかない心地よさ。だから私は秋が好きだ。
 縁側で汗をかきながらの昼寝もいいが、やはり秋風に包まれてする昼寝のほうが気持ちいい。目をつぶってもかすかに感じる太陽の光の中、ひんやりとした風が流れ込む。このうえない幸せだ。このままずっと寝ていたい。




 縁側から見える景色は、まるで絵の具で彩られたような鮮やかさ。
青い空、白い雲。本当に、秋の空はずっと眺めたくなる青色。夏の青も濃くて綺麗だけれど、秋の青は、2層に別れた綺麗な海色をしてる。それが魅力的だ。山並みに近い部分は少し緑がかった薄い青色。高くなるにつれ青色が濃くなっていく。村には海はないけれど、この空を見ているとまるで海に行った気分になれる。それも南国の綺麗な海。南国に行ったことはないけれど、たぶんそれぐらい綺麗だと思う。

 そんな海のような青色を引き立てるのが、白い雲。秋ならではの鰯雲が、波をうつように浮かんでいる。
 本当に綺麗な秋の空。こんな空をもっと長く見ていたい。けれど秋の日暮れは早く、長く見れないのだけが残念。

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