秋の深まりとともに里山の紅葉は一段と美しさを増し、一日一日変化を見せる。
昨日は赤が、今日は黄色が、と毎日見ていても飽きない。
 そして太陽に輝く赤色の葉も綺麗だけれど、雨に濡れる葉もまた魅力的。
赤色の葉は、太陽の光が当たると鮮やかになり、雨に濡れると哀愁を帯びた深い色になる。
まさに「雨もしたたるいい紅葉」で、それを演出する里山は「芸術の秋」という感じだ。

 そんな紅葉深まる中、秋を迎えもう1つ深みを増すものがあった。
それは赤茶色の「ソース」。いわゆる焼きそばやコロッケにかけるあのソース。まさか村でもそのソースができるとは思ってもみなかった。それだけに、できた時の喜びはとても大きかった。これまでにも味噌、砂糖、塩など色々な調味料づくりに挑戦してきたけれど、 ソースづくりはまた今までとは全く違った行程で、うまくできるかとても心配だった。
 何が心配かと言うと、ソースの香りの要でもある香辛料が、村には少ししかないということ。ソースの決め手がなくて本当にソースになるのかとても不安になった。




 心配ながらも野菜、果物を煮詰める作業まで進んだソースづくり。しかし味見をしてもソースのソの味もしなかった。このままの状態で本当に大丈夫かと思いながらも香辛料と調味料を鍋に入れると、不思議なことに「ソース」の味になった。それは、まぎれもなくソースの味だった。市販のソースとは全く違うが、とてもフルーティーで甘辛い村ならではのソース。おいしくなったのは熟成をさせたということもあったけれど、やはり村のものだけでできたという喜びの味だった。
 原料1つ1つが持つ素朴な味が、重なり合うことでこんなに深みが増した味になるなんて、これも先人の知恵なのだと改めて感じた。

 そんなソースで食べるお好み焼きはまた格別なおいしさだった。さらに鉄板で焼けるソースのとてもいい香りだけでご飯一杯はかるく食べられそう。
 やはり私には「食欲の秋」だ。

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