月明かり輝く秋の夜。
日に日に寒さも厳しくなり、白い息が目立つようになってきた。
それもそのはず、母屋の外の温度計は3℃。村の夜はあっという間に冬の夜になってしまった。

 そんな寒い夜は夜空が綺麗に見えるもので、月がキラキラ輝いている。蒼い月夜が村を包み、ランタンがなくても周りが見渡せる。いつもなら見えないあぜ道も明るく照らされ、夜の北登の散歩もしやすい。北登も同じ気持ちなのかスイスイ進んでいく。
 蒼い月も、夜深くなるにつれ、西へ西へと移動し明かりが薄くなっていく。
 すると、暗い夜空で目立つのは秋の星たち。




 秋の星は、夏に見えるダイナミックな星や冬の明るい星と比べると、一見地味に見える。
そして、ちょっと寂しい感じもする。
 でも実は秋の星は、夏と冬の星座をいっぺんに楽しめる季節らしい。
 そう言われてみるとそんな気もする。そんなことを思いながら、秋の星を楽しんでいると、有難いものに出会った。

 それは「流れ星」。初めて見るということもあり、予想以上の速さに驚くだけで、肝心な願い事をするのを忘れてしまった。願わなければいけないことは沢山あったのに・・・・
 でも、やっぱり諦めきれなくて、寒さを忘れずっと星空を眺めてしまった。

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