晩秋を彩る優しい光が照らすもの。それは色とりどりの窓ガラス。
太陽の光に照らされ、何色にも輝く。緑に輝いているかと思えば、ある時は黄金色、ある時はオレンジ。本当にガラスは神秘的。
 今年はじめ、ガラスのコップづくりに挑戦し、村でもガラスが作れたことにただ感動するだけだった。村の砂で作ったコップは濃い緑色で、透明ではなかったけれどそれなりに味があって、それもまたガラスの魅力なのだと改めて感じた。

 でも今度のガラスづくりはコップを作った時のようにはいかなかった。
 目指すものが平たく、透明な「窓ガラス」だったから。
 「窓ガラス」と言うと、透明で、薄いもの。果たしてそんなものが本当に村でできるのか、できるとしても、果たしてコップの技術で四角く、薄いガラスができるのか、正直疑問だった。
 しかし、その疑問は作業をしていく中で、少しずつなくなっていった。
 ポイントは2つ。今回は、四角の窓ガラスではなく、皿のような丸い窓ガラスを作るということ。そして、より透明にするには、砂の中の鉄分をとる必要があるということ。




 ただ、疑問はなくなっても、不安だけはなかなかなくなることはなかった。なぜなら、何枚ガラスを作っても、薄さや、透明度を求めると、出来上がった際にうまく冷めず、割れてしまうからだ。本当に悲しかった。せっかく作ったのに、ワラ灰の中で割れてしまうなんて・・・・
 なんとかならないものかと村山先生とともに、試行錯誤を重ねた。そしてようやく、窓になりそうな板状のガラスが何枚か出来上がった。本当に諦めなくて良かった。割れていないガラスを見た時の感動は、コップができた時よりも大きかった。出来上がったものは同じ丸でも厚さも色も全部異なり、すべて違う窓ガラス。こんなぜいたくな窓ガラスは世界に1つしかない。

 出来上がった窓を役場横の工房にはめると、一気に鳥肌がたった。それぐらい綺麗だった。古風な村に突然現れた洋風な建物。なんかだか教会にいるみたいだった。
 そんなステンドグラスのような窓からは、色々な色の光が入ってきて、ほんのり暖かく、私を包んでくれた。そんな工房で目指すは、「磁器づくり」。ガラスに負けないものを作りたい。

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