朝霜が冬の到来を予感させる。
草木についている霜が朝日に照らされ、キラキラ光る様は、ダイヤモンドダストのよう。
 これも冬にしか味わえない美しさだと思うと、白い息を吐きながらもじっと見つめてしまった。

 そんな寒さ厳しくなる中、待望の収穫を迎えたものがあった。
それは「マッシュルーム」。日本語では、ツクリタケ。マッシュルーム栽培に成功したのは17世紀のフランス。はじめは、そんな海外産のキノコが果たして村でも栽培できるのかと思ってしまった。そこで、まずはマッシュルームの栽培を学ぶために、実際に栽培している方のお宅を伺った。




 栽培されている部屋に入った途端、まず、部屋いっぱいに生えているマッシュルームに驚いた。私は、キノコは原木から生えるものと思っていただけに、堆肥からマッシュルームが出ているのを見た時には、信じられなかった。
 驚いたのはそれだけではなく、私が知っているマッシュルームとは形も違っていた。なんとシイタケのように長い石づきがついていたのだ。マッシュルームは石づきがないものだとずっと思っていた。ほんと、普段良く食べるマッシュルームだけれど、栽培方法を全く知らなかった自分が少し恥ずかしかった。
 そんな中、村での栽培は始まった。しかし温度、湿度管理がとても大変で、なかなかマッシュルームが出てこない時期もあった。心配で、夜何度もキノコ小屋に行って、温度や湿度をチェックした。

 そんな苦労の結果、待望の収穫を迎えた。
 マッシュルームと言えば、シチューの脇役ぐらいにしか考えていなかったけれど、村のとれたてのマッシュルームを食べたら、マッシュルームは主役になれるのだと思った。マッシュルームの串揚げからは、おいしい肉汁が出てきて、まさに「きのこ」という味がした。
 また、生で食べることができるのもマッシュルームならでは。はじめて食べる生のキノコは、独特の食感と甘みで、新鮮なマッシュルームだからこそ味わえる喜びだと思った。
 まだ2ヶ月は生え続けるマッシュルーム。今晩は、マッシュルームのフルコースだ。

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