冬晴れのもと田んぼ横ではマサヨ一家が気持ちよさそうに日なたぼっこをしている。
八木橋がいなくなって、マサヨはより一層たくましくなったような気がする。そんなマサヨを見て私も頑張ろうと思う。

 そんな日々の中、今年で7度目となる村の米づくりが、ようやく終わりを迎えた。
今年は男米を越える新たな米を作るため、冷害に強い「ふくみらい」という新しい品種を栽培し、男米との交配作業を行った。
 しかし、この交配作業が予想以上の難しさだった。出穂時期を合わせるため、田んぼ内に大きなハウスを作ったり、男米をハウスに移したり。そして、朝早い受粉作業で寝不足の日が続いた。




 そんな思いで、やっとのことで受粉作業を終えたと思ったら、また大変な自体が起きた。それは一番恐れていた「イモチ病」。まさかと思っていた病気にかかってしまった。
 明雄さんによると、出穂時期の日照不足や雨が多かったのが原因ということ。それにしても、田んぼの男米だけでなく、ハウスの新しい米まで「イモチ病」にかかってしまい、このままだと新男米の第一歩も踏み出せないかもしれないという不安が頭をよぎった。とりあえず木酢液で対策をし、後は天気にまかせるしかなかった。
 そんな心配が続く中、稲穂は黄金色に染まり新米の収穫を迎えた。「イモチ病」に多くの稲がやられてしまっただけに、自分の目の前に無事収穫されたお米見ると、とても有難い気持ちになった。

 一粒一粒は小粒だったけれど、どのお米も輝いて見えた。
また、湯気とともに優しく香る真っ白な炊き立ての新米を目の前にして、本当に、村人であることに感謝したいと思った。
 そんなお米をさっそく食べてみると、小粒ながらも味はしっかりとしていて、とても柔らかくて優しい味がした。かめばかむほど甘みが出てきて、「ご飯をおかずにご飯を食べる」というのは、まさにこう言うことなのだと思った。
 ハウスの新男米も数粒であるけれど収穫はでき、来年こそは数粒が何百粒になるよう頑張りたい。

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