「ハックション」という大声が母屋中に響き渡る。
それを聞いて北登も吠え出す。
 年またぎの風邪が、年始2週間たった今もしつこく続いている。小寒の寒さのせいか、はたまた年のせいか、中々治らない。年始早々の風邪など本当に情けない。私の人生も小寒を迎えているのかもしれない。

 鼻水か咳のどちらかならまだいいのだが、ダブルパンチが辛いところ。「ゴホン」「ハックション」「ズルズル」の繰り返しで1曲完成するのではないかと思うほど。あまりのくしゃみと咳で、運動もしていないのに筋肉痛になってしまった。本当に情けない。




 そんな私を心配してか、北登がじっと私を見つめる。でもひょっとしたら「風邪をうつさないでほしい」と思っているだけかもしれない。
 風邪というのは本当に人を悲観的に変えてしまうものだ。 色々な意味で早く、治ってほしい。

 病は気からというだけに、まずは気持ちだけでも負けないようにと、掘りごたつで生姜湯を飲む。そしてハチミツ大根を食べる。さらにおかゆを食べる。さらにお餅も食べる。不思議と食欲だけは風邪をひいても変わらないみたい。
 どうやら私のお腹だけは、小寒も大寒もないようだ。

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