去年の今頃、水車は凍る暇なく働き、里山からは春を漂わせるような沢の涼しげな音が聞こえていた。まさに「立春」という感じだった。 それなのに今年は、村長の水飲み場の音が薄ら聞こえるぐらい。 この静けさは、村の雪景色を引きしめているようにも思える。 |
やはり、村一面に広がる雪はなんとも言えない美しさがある。 一面緑色の村も綺麗だけれど、やっぱり一面白色の村のほうが神秘的で美しい。 そして、雪が積もった時の空気は特別なものがある。より澄んでいるというか、喉を通る感じも違う。ほんのりひんやりとしていて、甘い。そんな空気を吸うと、気持ちまでも澄んでくる。本当にお金では買うことのできない貴重なもの。 |
そんな私をよそに、北登は空気ではなく雪に喜んでいる。今年は雪が多くて、明らかに北登のしっぽのふりがいつもより大きい。 なぜ、犬はこんなに雪が好きなのだろうか。 そんな北登はよく雪の中に顔を突っ込んでいる。何かおいしい匂いがするのだろうか?それとも雪に味があるのだろうか?人でいうカキ氷みたいなものだろうか?でもカキ氷は夏食べるからこそおいしいのであって、冬はどうかという気もする。 |
疑問は深まるばかりだが、人もやっぱり雪は好きだ。みんな、ワクワクした気分になる。北登を見ていると、雪が積もっている場所を探しては雪合戦をしていた小学校の頃の私を思い出す。
それでもやっぱり北登の雪好きには負けるだろうな。 |