突然の雨に降られ、急いで母屋の軒下に入った。
ここ数ヶ月、雪しか見ていなかっただけに、久々の雨はなんだか嬉しかった。
予想外の雨ってこんなに嬉しいものなのだろうか。

 久しぶりに見た雨の雲。なんだか懐かしい気分。雪の雲も同じグレーだけど、やっぱり雨の雲には迫力がある。黒くて、重くて、雪の雲とはちょっと違う。
 手に触れる雨はまだまだ冷たかったけれど、その冷たさの中に、春のようなぬくもりを感じた。まさに雨水(うすい)の雨。雨水は立春と啓蟄の間にあたる節季。




 雨が春を呼び起こすように大地を叩き、こころなしか梅の蕾も少しふっくらとした気がする。この寒い中、着々と春に向けて準備をしているようだ。
 咲いた梅も綺麗だけれど、今から咲く「蕾」も心魅かれる美しさがある。
散るのを待つ花より、今から咲くだろう「蕾」のほうが綺麗なのかもしれない。

 そんな春を感じたのもつかの間、雨の雲はあっという間に雪の雲へと変わってしまった。 その雪は猛吹雪に変わり、また村一面真っ白になった。
春は近いようで、まだまだ遠いのかもしれない。
どちらにしても、春を待つのは楽しいもの。今この時を楽しもう。

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