雪解け始まり、春の香りが漂い始めた頃、村では一足早く涼しげな香りが広がっていた。 その香りの主は「薄荷」。私の中で薄荷と言うとやはり飴のイメージが強い。 が実を言うと、私は小さい頃から薄荷飴が苦手だった。鼻にツーンとくる香り、甘いのか辛いのか分からない味が、小さい頃の私には理解できなかったからだ。 |
それだけに正直薄荷を栽培することには、抵抗があった。 そして、植物としての薄荷を目にしたこともない私が本当に栽培できるのか。 そんな不安の中、薄荷は苗の状態から着々と生長し、あっという間に緑の葉で生い茂った。そんな畑に近づくと、1m以上離れているのに、薄荷のツーンとした香りが漂ってきた。さらに、葉を一枚採って手で擦ってみると、鼻が痛くなるほどの強い香りに思わず驚いてしまった。薄荷の香りは目覚ましの代わりになるかもしれない。 |
そんな香りを保存するために、今回は収穫した薄荷を乾燥させ、蒸留を行い、薄荷油を 抽出した。これが、また薄荷飴の元になるのだが、薄荷の香りが凝縮しているだけに、鼻を近づけるなり、涙が出そうな強い香りがした。それにしても、油を抽出することで、香りが保存できるなんてすごい。 こんな薄荷油を入れた「薄荷飴」、私は小さい頃の悪夢が甦った。また辛くて口から出してしまうのではないかと。 |
そんな緊張の中、手づくりの薄荷飴を1つ口にしてみると、小さい頃のものとは全く違った香りと味がした。辛みも少なくて、甘くて涼しげな香りが私の口の中に広がった。はじめて薄荷飴がおいしいと思った瞬間だった。私も少しは大人になったのかもしれない。 そんな薄荷油は飴以外にもお風呂に入れたり、シップになったり、色々な使い道がある。 今から夏の涼しげな薄荷風呂が待ち遠しい。 |