空は眩しいくらいの青。
風はまだまだ冷たいけれど、太陽の暖かい陽射に包まれ、もう春にふさわしい天気。
数週間前の肌を刺すような風はどこにいってしまったのだろう。本当に、春というのは知らない間にやって来るもの。

 知らない間と言えば役場の近くの、桃の木の下に黄色い蕾を見つけた。
それは「福寿草」。毎年春の到来を知らせてくれる。
 暖かい地方ではお正月の頃に咲くことから、幸福と長寿をあらわす「福寿」の名をつけたらしい。




 そんな幸福をもたらす花の蕾を見つけただけに、咲くのが楽しみになってきた。
咲いた時には、私にも幸福が訪れるのではないかと。
 そんなことを思いながら散歩をして再び蕾を見てみると、なんと、綺麗な黄色い花が咲いていた。散歩に行かないでずっと見ていたら、花開く瞬間が見れたかもしれない。ちょっと残念な気もしたが、咲きたての福寿草に出会えたことだけでも、幸せなのかもしれない。

 そんな幸せの花には人だけでなく、生き物全部を引き寄せる力があるのか。ミツバチ達がさっそく蜜を吸いに来ていた。
 村に来て2度目の春。何かいいことがあるかも。

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