風に揺れる芽吹いたばかりの柳の木。
なんでこんなにも清々しいのだろう。透けるような淡い緑色は柔らかく、とても新鮮だった。
こういう色を目にすると、春だなと感じる。

 そんな柳の新芽に負けじと芽吹いたものが窯場に向かう道中にあった。
それは、果樹を移動させて、ヤギ達のために作った「牧草地」。春を迎えて一気に緑濃くなり、時折吹く風で大きく波うつ牧草を見ていると、思わず飛び込みたくなってしまう。そのくらい気持ちよさそう。
 そんな牧草の波に上手くのっているのが、仔山羊の「チャコ」。楽しそうにぴょんぴょんと波を越えている。そんなチャコを見て、一緒に走ろうとすると、余りの速さに全然ついていけなかった。いつの間にか私よりも早く走れるようになったチャコを見て、とても嬉しくなった。




 そんな元気なチャコが、最近、毎日楽しみにしているのは餌の時間。あっという間に、母・リンダのミルクを卒業し、大人同様、干し草も食べるようになった。
 チャコが食べる干し草・サイレージは、みんな私達の手づくり。去年の秋、初めてヤギの餌づくりに挑戦した。その餌づくりも大変な作業だった。
 あれだけ広い牧草地の牧草を刈って、毎日裏返し乾燥させ、夏の作業で、汗だくになった。
さらに、干し草以外にもサイレージという発酵餌を作るため、餌のためのトウモロコシも栽培した。これは、イノシシが大好きなだけに対策に一苦労だった。

 そして、なんとかヤギの餌が完成した。見た目は悪いけれど、愛情はたっぷりのヤギのための餌。ちゃんと食べてくれるか心配だったけれど、おいしいそうに皆食べている姿を見ると、本当に作って良かったと思った。
 自分達の食事だけでなく、マサヨ一家の食事までも作ることができるようになって、また家族が一つになれた気がした。今年も頑張って作るぞ。

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