水が入った田んぼ。風で波うつ様は、海のよう。
風がない時、その海には水鏡のような風景が広がっている。里山の山並や春の空。
水面に映る春景色は、なかなかの美しさがある。色はみんな田んぼの土色だけれど、水面に描かれる山や空は綺麗な曲線を描き、普段とは違った山並みや空を見ることができる。
 これもこの時期ならではの風景。

 田んぼには1年で色々な風景がある。代掻きが終った田んぼ・田植えが終った田んぼ・黄金色の穂が広がる田んぼ、どれも綺麗だけれど、私は水が入った田んぼが好きだ。




 田植えや黄金色の稲穂に比べたら何もない淋しい感じはするけれど、波のように揺れる田んぼを見ていると、とても清々しい気分になれる。心の中を真っ白にしてくれるというか、私の心を落ち着かせてくれる。まるで、海にいるような気分。波音は聞こえないけれど、その分、若葉が風に揺れる音が聞こえてくる。

 そんな海のような田んぼも、あと少し。そろそろ田植えが始まる時期。最後の仕上げの「畦塗り」も始まり、私もいつまでも、綺麗な海を眺めているわけにはいかない。今年こそは新男米が大収穫できるよう頑張るぞ。

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