拭いても拭いても滝のように流れる汗。
暑い日の畑作業は本当に辛い。半日外で作業するだけでもぐったりしてしまう。
 でもそういうことが「生きている」ということなんだと時々思う。

 夏嫌いな私からすれば、もちろん汗でベトベトするのは嫌だけれど、汗をかいていると、自分は今生きているんだなと思える。そして、健康であることに感謝もできる。そんなことを考えると、少し嬉しくもなる。
 でも、こんなことを思えるのも、自然の中にいるからこそ、なのかもしれない。
自然といえば、先だっておいしい恵みを食することができた。




 それは山菜の「ウド」。
 まる1年かけて作ったウドの味は、ほろ苦く、今まで味わったことのないものだった。食感も、シャキシャキとしていて、驚くほどさっぱりとしていた。何本でも食べられそうだった。でもそれは室の中でつくった白色のウドのこと。室の中のウドは、モミガラに入れて置いておくだけで生長する。それだけ、根に養分を蓄えているのである。
 それに比べ、露地栽培した緑色のウドはあまりにも苦味が強かった。

 明雄さんや山口さんや城島さんはおいしそうに食べていたが、私にはまだ早かった。早くあの苦味が分かるような大人になりたい。
 それにしても日の光だけでこんなにも違うのは、本当に不思議だなと思った。  
 不思議なのは食べ物だけでなく、今年の気候。この時期、聞こえない鳴き声が聞こえてきた。それは、夏によく鳴いているヒグラシの声。梅雨明けどころか、梅雨入りしたような天気でもないのに・・・。本当に、いつになったらちゃんとした梅雨は来るのだろう。

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