あぜ道に広がる、赤色の葉。
まだまだ緑は残しつつも、少しずつ村が色付いてきた気がする。
  秋の果物りんごも、ほのかに色付きはじめた。早くかぶりつきたい。
  そんな赤色に染まり始めた村で、いち早く赤色の辛い調味料が完成した。
それは、中国の調味料「豆板醤」。

まさか、村で中国の調味料を作るとは思ってもみなかった。そして、村の材料で「豆板醤」ができるとも知らなかった。
  豆板醤づくりは、空豆をつくるところから始まった。空豆というと酒のつまみというイメージしかないけれど、実は豆板醤の原料には欠かせないもの。
でも本当にあの赤い調味料の原料が空豆なのか、豆板醤が出来上がるまでは信じられなかった。




 今までに味噌や塩や砂糖など数々の調味料を村で作ってきたけれど、初めて挑む中国の調味料は温度管理が難しかった。温度を一定に保つために、地中に瓶を埋めてみたりもした。それでも、熟成途中でカビが発生してしまい、瓶を蜜蝋でコーティングしたり。本当に、出来上がるギリギリまで心配続きだった。
  そんな豆板醤も1年間の寝かせを終え、ようやく私たちの口に入る時がやってきた。恐る恐る1口なめてみると、やっぱり辛かった。
でも、ただ辛いだけでなく、その中には空豆の旨みとコクがあり、豆板醤へのイメージが変わった気がした。

手作りの豆板醤で作った麻婆豆腐の味も、格別な味だった。
自分達で作った豆腐の甘みと豆板醤のコクのある辛味が絶妙な味を生み出し、何杯でもご飯が食べられそうだった。
  豆板醤もまだ残っていることだし、これから寒くなる季節は、激辛料理で暖まろ。

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