虫の音も終わりを告げ、村に静かな夜が訪れる。
秋の虫たちもこの夜の寒さで冬眠の準備に入ったのだろうか。そのくらい寒い夜がここ数日続いている。
そんな冷たく澄んだ空気がいつもより星や月がよりくっきりと見せる。
私はこの時期の夜空が大好きだ。濃い青色に照らされキラキラと輝く月の美しさには時間を忘れてしまう。

昼間の真っ青な秋空も好きだけど、夜の澄みきった空に迷うことなく輝く月も魅力的。その月明かりで周囲の景色は煌々と輝き、昼間見るものとは全く違った表情を見せてくれる。本当に晩秋の夜空は魅力がいっぱい。




そして自然の月が生み出す灯りはとても優しい。強すぎずちょうどいい薄明かり。不自由ないほどに明るく、あぜ道もちゃんと見えるくらいの明るさ。
村全体を照らす月を見て、改めて自然の偉大さを感じた。村中を電球で全部照らそうとしたら、いったい何百個の電球が必要になるのだろう。でも月はたった1つで村を照らしてしまう。

 そう考えると照明がない時代や地域には月は貴重な存在であり、だからこそ月の満ち欠けに敏感だったのかもしれないと思った。
  そんな満月に感謝し、私は眠りについた。次の満月はいつかな。

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