今年も無事男米が収穫でき、小粒ながらもおいしい新米を食べることができた。できるなら、そんな今年の新米をマサヨにも見てほしかった。 八木橋が亡くなって一年、マサヨも天国へと旅立っていった。 やはり夫婦というのは、どこにいても通じ合っているものなのか、八木橋が寂しくてマサヨを呼んだのかもしれない。でも私はもう少しマサヨと一緒にいたかった。 |
八木橋が亡くなってからは、マサヨがヤギ一家支えてきてくれた。ひ孫のチャコも生まれ、マサヨが死ぬなんて思っても見なかった。 でもマサヨも人間でいうと、かなりのおばあちゃん。死を意識しなければならない時期でもあった。 晩秋の冷え込みが厳しくなった頃から、マサヨの様子が少しずつ変わっていった。 |
そんな看病をしていたある朝、マサヨは安らかな眠りについた。 マサヨの顔を見ていると自然に涙があふれてきた。この8年ありがとうという気持ちでいっぱいになった。 生きるものすべてには死がつきものであり、避けては通れないもの。 「死」はとても悲しく、辛いことだけれど、それに立ち会えるからこそ、「生」の大切さをより感じることができるのかもしれない。 これからは、マサヨのためにも皆で協力して頑張っていかなければ。 |