頬を刺す冷たい風。
いよいよ冬も本番、水車にも毎年恒例のつららができ始めた。
このつららを見ると、なんだか寒さも倍増する。
畑や田んぼには霜柱のじゅうたんが広がり、思わず足を止めて見とれてしまうほどの美しさ。踏むのがもったいないくらい。

そんな中、横から颯爽と霜柱の上を歩くのは「チャコ」。彼女の興味は霜柱よりも、わずかに生えている緑の草。やはり初めての冬を乗り切るには、まずは食べるということなのだろうか。心なしか、ヤギ一家の女性達はみんな「ぽっちゃり」した気もする。マサヨなきあとも村の女性達は逞しい。




霜柱の美しさは儚く、日中になれば太陽の光であっという間になくなってしまうのが残念。朝、毛足の長いじゅうたんだった田んぼの霜柱はすでに小さな池と化してしまった。
そんな水溜りには、冬空の穏やかな水色や白い雲が綺麗に映り込んでいる。
初夏、代掻きが終わったばかりの田んぼに映る空の景色や夕日も魅力的だけれど、冬の田んぼに描かれる空も嫌いではない。

代掻き後に写る画のようなダイナミックさはないけれど、稲を刈り取られた寂しげな稲株の隙間に映る冬の空は、哀愁がありとても美しい。隙間に少しだけ写るというのが、また惹かれるものがあるのだろう。
  秋だけに限らず、冬も「芸術」の季節。そして「食欲」の季節なのかもしれない。

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