額にポツリと冷たい雫が落ちる。 また「つらら」の水滴が落ちてきたのかと思い上を見上げると、それは「つらら」の雫ではなく雨の雫だった。 |
久々の雨は、懐かしい感じがした。 梅雨になれば嫌というほど味わえる雨なのに、今日の雨はなんだか春に近づいた証のような気がして、嬉しくなった。 ポツリと降り出した雨は次第に強くなり、私はヤギ達の餌やりを終えると急いで母屋の軒下にかけこんだ。 |
そんな私の横で悲しそうにしていたのは「北登」。この雨で散歩に行けず、がっかりしているみたい。元は同じ水でも北登は固体になっている雪が大好き。雪が積もっても気にしないが雨に濡れるのは大嫌い。そんな北登にとって、やはり雨よりも雪なのだろう。 |
しばらくの間、ふたり縁側で雨を眺めていると、北登の念が通じたのか水滴の雨はふたたび白い雪へと変わった。その雪を見て、北登はしっぽをフリフリさせていた。 早く春は来てほしいけれど北登が喜んでくれるなら、もう少し私も冬を味わおう。 春は三寒四温でやって来る・・・三日寒く四日暖かいと言います。 |