村の里桜も開花間近となり、心地よい春の陽気。
そんな中、いち早く夏を迎えているのが南国ハウス。
ハウスの中に入って5分も経たないうちに、じわじわと額から流れ落ちる汗。
今さらだけど、この蒸し暑さはまさに南国。
  そんな南国ハウスでこの春、バナナをはじめとしたトロピカルなフルーツたちの先陣をきって、収穫を迎えたものがあった。それは「パッションフルーツ」。
  南国を産地とする作物たちの栽培を始めたのは昨年5月。この1年は早いようで長い1年だった。

 一般的にはおよそ200個できるというパッションフルーツづくり。手探り状態のそれは「そんなにとれても食べきれない」などという心配よりも深刻な心配事が栽培当初から続いた。夏になっても実のもととなる花芽がつかない状態。何とか花芽をつけてくれるように、栄養の供給源の葉を切り落としたりするなど、植物にとって危険な作業もやってきた。
一般的な栽培に比べ予定が大幅に遅れた影響か、葉もいつしか弱っていき、不安を覚えた。
冬は、ようやく生った実をこれ以上落とすわけにはいかないと、深夜も休まず床暖房を炊き続けた。




 そして、気づけばいつしか春。予定より半年近く遅れてようやく手にしたパッションフルーツの実は1個だった。
たったの1個かと思うかもしれないけれど、私にとっては1個でも収穫でき
たんだという喜びでいっぱいだった。

 さらに収穫したパッションフルーツを口にした瞬間、村の果物にはなかった南国の甘みと酸味を感じた。挑戦から始まった南国作物づくりが、今やっと現実となったのだと改めて実感し、1年間の色々な思いが込み上げてきた。
  でも、南国作物はパッションフルーツだけではない。全部の作物の実が収穫できるよう今年も頑張るぞ。

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