待ちに待った里桜がようやく満開に。
毎年のことながら、このさくらの美しさには圧倒される。
花びらの柔らかいピンク色が心を癒してくれているのか、これも桜だけが持つ不思議な力なのだろうか。

 そんな桜に見とれていたら、花陰に何か動くものを感じた。
  蜜集めにいそしむミツバチよりもはるかに大きな影。
そっと近づいて見てみると「ヒヨドリ」だった。桜の開花を待ちわびていたのは私だけではなかった。




 しばらく観察してみると、ヒヨドリは桜の匂いを嗅ぐように花の中にくちばしを入れていた。蜜を吸っているのだろうか?でも鳥が?ヒヨドリはじっと見つめる私の姿に気付くことなく、一心不乱に花の中に頭を入れていた。
  後で本を見てみると、ヒヨドリは花の蜜が好きと書いてあった。ヒヨドリがそんなに夢中になるくらい今年の里桜の蜜はおいしいのかと思うと、私も蜜を吸いたくなった。

 でもミツバチや鳥の楽しみをとってしまうのもなんだか可愛そうなので、見ることと香りを楽しむことで我慢することにした。今年の桜はこころなしか去年よりもさらに甘い香りがして、私のお腹は桜の香りでいっぱいになった。
  いつか鳥やミツバチになって、甘い桜の蜜をお腹いっぱい吸いたいな。

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