「色より音色で 気づく秋」 |
秋晴れの高い空の下、稲穂が風に揺れる。 あっという間に頭を垂れ、この時期ならではの「ザワー」という稲の波音が村に響き渡る。稲穂と稲穂が擦れあう柔らかい音は心地よく、いつまでも聞いていたくなる。この音が聞こえ始めると私は秋の到来を感じる。 |
秋の音と言えば、もう1つ。「ヒグラシ」に代わって鳴き始めた「コオロギ」。つい最近まで「ヒグラシ」が鳴いていたと思いきや、いつの間にか里山の音の主役は「コオロギ」へと移り変わっていた。 秋の夜長に鳴く「コオロギ」は真っ黒な見た目からは想像できない綺麗な音を奏でる。「リリィーン」という柔らかい音は、なんとも言えない安らぎを与えてくれる不思議な力を持っている。 |
そんな綺麗な音を奏でるのは、雌かと思いきや意外にも雄(オス)であることにまず驚いた。この音は当然、人を楽しませるために鳴いているのではなく、将来の妻のために鳴いているのだ。綺麗な鳴き声は、自分をアピールするための歌であり求愛の歌。 |
だから人の心までもうつ音色なのかもしれない。 秋は「食欲」「スポーツ」「芸術」「読書」に加え、「恋」の季節なのかもしれない。 |