「黄色く熟れた 雪国バナナ」 |
里山が徐々に色付く中、ひときわ黄色に輝く作物が1年5ヵ月の時を経て、ようやく収穫を迎えた。それは「バナナ」。 すべては挑戦から始まったこの南国作物。まさか雪国で収穫できるなんて信じられなかった。 でもそのバナナはこの秋、たわわに実った。1口食べる度に、沢山の思い出が蘇ってきた。 |
定植したばかりの昨年5月、梅雨の悪天候もあり上手く根付かずバナナが枯れ始めたのが最初。その後の大きな危機は冬の温度管理。温度を上げるための暖房システムを作り、寝る間も惜しんでハウス内を暖めた。 葉につくダニ「ハダニ」により、葉が枯れ始めるという危機もあった。エゴマ油のしぼりかすを肥料として与えたこともあった。 その他、通常の作物の何倍も手をかけてきたバナナづくり。 |
このバナナづくりを通して1番感じたのは、「何事も諦めてはいけない」ということ。学生時代からよく先生が「何事も諦めてはいけない。諦めるのは簡単だから」と言っていたけれど本当にその通りだと思った。 |
とれたてのバナナを口に入れた瞬間、今まで味わったことのない甘みが口の中に広がった。少し小ぶりではあったけれど、独特のえぐみが全くなかった。正直バナナだけはあまり好きでなかった私でも、何本でも食べられそうな気がした。でも、1年5ヶ月のさまざまな思いを考えるとなんだか食べるのがもったいないような気もした。 バナナは、村の住人全員の努力の結晶だ。 |