「食欲の秋 ぬか香る秋」

北登の散歩は、私の朝の日課。
今日もいつものルートを歩く。いつものルートとは、母屋を出て田んぼ横のあぜ道を歩き、牧草地へと登っていくルート。
 そのあぜ道は、色とりどりに紅葉した落ち葉の道。
赤に黄色にオレンジ。紅葉といっても木の種類、日照の具合で全く違った色を生み出す。落ち葉に同じものは1つもない。

 そんな落ち葉を1枚手にとってみると、落ち葉から良い香りがしたのか傍らにいた北登がクンクン匂いを嗅ぎ始めた。
北登も落ち葉の魅力がわかるのかと感心していると、今度は私の手をクンクン嗅ぎ始めた。北登が気にしていたのは私の手の匂いだったようだ。




 私の手からする匂い。それは、おそらく「ぬか」の匂い。
この秋完成した「ぬか床」を混ぜるのも私の朝の日課になっている。その匂いが私の手に染み付いていたのだろう。
まさか自分が「ぬか床」を毎日混ぜるとは思ってもみなかった。
「ぬか床は、毎日手入れしてあげなきゃダメだ」と私のおばあちゃんもよく言っていたけれど、やっとその意味が分かった。
毎日手入れしてあげないとすぐにカビたり、水分が多くなりすぎたりと結構難しい。「ぬか床」も生き物と同じ。「思いやり」がおいしい「ぬか漬け」を作り出す。

漬物名人・三瓶孝子さん指導のもと作り上げた今年の「ぬか床」。
いちから作った「ぬか床」に漬けた野菜は、程よい酸味と塩気でとてもおいしかった。
できれば早く今年の新米と一緒に食べたいな。新男米収穫までもう少し、今から楽しみ。

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