「秋風が 穂の色・味を 深くする」

 稲穂の黄金色の海は「はせがけ」へと移り変わり、新男米を口にする日も近くなってきた。
 「はせがけ」をすると、稲の茎に残った養分が最後の一滴まで米に蓄えられ、旨みが増すと言われている。

 そんな「はせがけ」の田んぼを見ていると、なんだか頭を垂らしていた稲穂の姿が懐かしくなった。あのキラキラした海も今年はもう終わり。そう思うとなんだか少し寂しくなる。




でも「はせがけ」の風景も嫌いではない。赤トンボがはせ木に止まっている様は晩秋にふさわしい風景というか、黄金色の田んぼにはない魅力を感じる。
そして「はせがけ」の稲穂には、1年間の重みを感じる。茶色に色あせた稲穂は、春に田植えをした苗が立派に生長した証。そんな稲穂を見ていると、ホッとするというか落ち着いた気分になれる。ずっと眺めていたくなる風景。

茶色に変化し収穫間近のものと言えば、役場裏・ミツバチ巣箱前に開墾した自称「あんべ畑」の大豆。今年は去年よりも遅い感じがするけれど、無事実がついているようでホッとした。
大豆は豆腐や味噌・醤油などの原料でもあり、村にとっては欠かせない作物。早く、新男米と一緒に食べたいな。

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