「冬支度に思う 生きる意味」

日々あぜ道に積もる落ち葉。
里山の木々から舞いおちた落ち葉は、木枯らしに吹かれ舞い上がるそれへと徐々に移り変わり、一歩ずつではあるが冬に近づいている。

 そんな冬に向けて、村の各所でも冬支度は始まっている。
役場裏のミツバチの巣箱では花粉があるうちに、と毎日働き蜂が花粉を運んでいる。
砂糖水の給餌を兼ねてそんな様子を見に行ったとき、近くで「ブーン」という重低音が聞こえた。後ろを振り返ると「キイロスズメバチ」がミツバチの巣箱の周りを飛んでいた。心配ではあったが数日後、目にしたのは今までに見たことのない光景をだった。
それはミツバチ達がスズメバチを集団で囲み、体熱で殺す 「ミツバチの熱殺」。
一歩間違えれば自分たちも命を落とす恐れもある捨て身の行動。
私は初めて見る光景に驚くと共に、ミツバチたちの心の強さに感動した。




なんとか危機も乗り越え一安心かと思いきや、今度は村の作物に異変が起きた。
大豆が数株、何者かに食べられてしまったのだ。収穫前の大豆なのに鞘がついた状態で中身だけ無くなっているものもあり、「またイノシシですかね?」と明雄さんに聞くと、「これは違うな」ということで、カメラを設置し観察してみることにした。
数日後カメラを確認すると、映っていたのはなんと1匹の「ニホンザル」。
初めて現われたそれは集団行動する生き物。今は1匹とはいえ群れが近くにいる可能性もありそうなれば大きな被害を及ぼす可能性もある。
急いで漁網で対策をし、ひとまずは様子をみることにした。

落葉する木々、生命の危機を感じながらもスズメバチと戦うミツバチ、罠の危険性がある中でも餌を探す「サル」。冬支度を進める動植物を見て、改めて「生きる」という意味の重さを感じた。
「生きる」ためには多少の危険はつきもの。そんな中、堂々と生きる里山の動植物。
私も、そんな強い人間になりたい。

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