「冬でも元気な 村の住人」

 大寒間近の村。
寒さが最も厳しくなる季節だけあって、水車に限らず村長の住居「水飲み場」にも「つらら」が出来始めた。
 カチカチに凍りついた村長の帽子とマフラーは見ているだけでも寒さが倍増する。冬の間だけでも水飲み場から温泉が湧き出てくればいいのにな。
きっと村長も同じ気持ちのはず。

 そんなことを思いつつ震える私の横で元気にはしゃいでいるのは「北登」。
今年10歳を迎える「北登」は人間にしてみればおじいちゃんに近いぐらい。
でも歳を感じさせない「機敏さ」にはいつも驚かされる。
一緒に歩いていても私はいつも引っ張られる。たまに一緒に走ったときなどは、まったくもって「北登」のスピードにはついていけない。




 最近は、機敏さ以外にも見習わなければならないと思うところがある。
それは「好奇心旺盛」なところ。散歩をしていてもまずは臭いをかぎ、色々なものに興味を持つ。その積極性は尊敬すべきところだ。
 そして「よく食べてよく動く」ところ。ご飯を作ってあげても2人分をあっという間に食べてしまう。10歳とは思えない食欲。でも更にその分動くのが北登のすごいところ。私の2倍は動いているかもしれない。

 私も寒いといって食べてばかりはいられない。
「北登」を見習って、冬だからこそ食べた分は動かなければ。

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