「新村人 初仕事」 |
その中で、僕はとにかく冷たい風から守り、少しでも暖かくしてやる事しか出来なかった。体を舐める母・リンダに、ふぶきは必死に応えようと大声で鳴いた。そして何度倒れても立ち上がり、力なくもフラフラと前に進もうとする。 ふぶきが目指すのはリンダの母乳。ふぶきは一生懸命生きようとしていた。 |
時間はかかったが、ふぶきはなんとか自分の力でリンダのもとにたどり着き、母乳を飲む事が出来た。リンダはふぶきがちゃんと吸えているか確認するように首を傾け、心配そうに見つめていた。リンダの母乳を口にしたふぶきはやがてみるみる元気になった。しかし僕の緊張は解けない。やがてこの母娘を一緒に見守ってくれた明雄さんが「もう大丈夫」と言った。ぼくはその言葉でようやくホッとすることが出来た。 |
寒い冬の吹雪が舞う時季に生まれたふぶき。初めこそ弱々しかったが、今では寒さをものともせずに、走り回っている。 ふぶきと同じタイミングで、僕も村人として新たな生活がスタートする。 |