「もうすぐ、3月。もうすぐ、春。」

「春はあけぼの。やうやうしろくなりゆく山ぎは・・・」
1000年以上前の有名なこの随筆を僕が初めて耳にしたのは、春の陽が差し込む教室。当時はそれをどことなく小説の一部のように感じてしまっていた。だが、DASH村に来てから度々この随筆のこの部分が頭に浮かぶ。きっとそれぞれの季節の美しい部分、美しくない部分を綴ったこの随筆に共感する事が多くなったんだと思う。

例えば、冬。
「冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず、・・・」
この文章の通り、雪の降った日の早朝は寒さは厳しいが本当にきれい。DASH村の早朝も、音はなく、一面雪が積もり白くなった光景の中陽が上がり辺りを照らすと光が反射してさらに明るくなる。こういった、朝の風景がこの随筆の冬の記述部分に重なる気がする。
昔の人もこういった光景を見て同じように感じたと思うと、1000年以上も前の人がなんだかぐっと近くに感じられる。




今までは、教科書によく書かれている出来事がどういう世界だったのか考えてもぼんやりしてしまっていた。しかし、このDASH村で季節に密な生活をするようになった今、前よりも想像する事が出来る気がする。
昔の人はきっと、季節ごとの天気の移り変わりを気にして作物を育て、その季節のモノを口にしていた。ずっと自然に近い生活をしていたんだとは思う。けれど昔と今は暮らしが変わっただけで、感じる事は変わらなかったのかもしれない。

今日で、2月も終わり明日から3月になる。
徐々に温かくなり、様々な植物が芽吹き、生き物が誕生する季節。
寒い時期に産まれたふぶきもきっと村中を走り回るんだろうな。

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