「村に 響くは 自然のメロディ」

村に響き渡る音はいくつもあるが、一つの共通点がある。
水の音、雨の音、風の音、鳥のさえずり、虫の鳴き声、カエルの合唱、そして、たまに全てを掻き消す北登の遠吠えに羊たちの声。村では絶えず色々な音を耳にできるがどれも自然の音。

都会で響くような行き交う車の音、人々の雑踏、どこかで工事しているような機械音など、どれも人工的な音とは明らかに違う。自然の音の場合、絶えず変化し同じ音色は滅多にない気がする。例えば、風の音ひとつとっても強い風の時もあれば、穏やかな風が吹き抜ける時もある。強い風の時は、木と木が擦れ合い甲高い音が時折響いてくる。穏やかな風の時は、葉が緩やかに揺れて音が伝わる。このように風は向きも強さも頻繁に変わるので、その時その時で微妙に音は変化する。




季節によっても音の種類は変わってくる。
極寒の村の場合、全ての水は凍り、鳥たちはさえずる事を止める。無風の中、雪がシンシンと降り積もり、静寂に包まれる世界。そんな中、歩く度に雪を踏みしめる音が異様に大きく響くのも冬を象徴した音の一つだと思う。

これから夏になると冬のそれとは逆に、昼間は水車や村長のいる水飲み場の水音に鳥たちのさえずり、夜はカエルや虫の合唱とにぎやかな村に様変わりする。
それぞれの季節、それぞれの日々、緑に囲まれた村は様々な自然の音が響き渡っている。

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