「幸せな風邪ひき」 |
暖かくなったら急に寒くなる最近の変な気候。それに負けたのか、ついに風邪をひいてしまった。 畑での作業を終え、母屋に戻り囲炉裏端で暖まっていたらいつの間にか寝てしまった。 |
寒さで目が覚めたときには、日も暮れ、囲炉裏の火も消えていた。グンと冷え込んだせいで体は冷えきり、震えながら上着を着て囲炉裏に火を足した。嫌な予感がしたのだが、時すでに遅く、寒さから悪寒に変わっていくのを感じた。 |
幸い、熱が出ることはなかったが、鼻水と咳が止まらなかったのでマスクをして羊姉妹の小屋の掃除をした。しかしマスクをするとどうしてもすぐに眼鏡が曇ってしまい、前が見えなくなるので作業にならない。鼻水もずっと止まらないし、なかなか苦しい状態が続いた。 |
夜の寒さでまた体が冷えるとまずいので、風邪をひいたと知った明雄さんが教えてくれた生姜湯を作って飲むことにした。今まで生姜湯を飲む事はあまりなかったが、体の芯から暖まり、風邪の喉と鼻に効いていく気がして、すごくおいしく感じた。 外は雨が降り続き、夜はグンと冷え込み、鼻はグズグズ。こんな状況の中で、こういうささやかな幸せが何だか温かかった。 |