「ふぶきの真新しい首輪」 |
寒さ厳しい冬の早朝に誕生したふぶき。 村の冬を乗り越え、産まれてから早4ヶ月になろうとしていた。脚力が強く人一倍おてんばになり、牧草地を跳ねながら元気よく駆け回っている。 |
甘えん坊な所は変わりなく、リンダの姿が見えなくなるとすぐに鳴き叫ぶ反面、里山に新緑が増え、多くの生き物が活発に動き始めてからは旺盛な好奇心に駆られ、リンダのそばを離れすぐにふらふらと牧草地から脱走する。畑に作物がどんどん増えているこの時期、野菜をつまみ食いされては困るのでふぶきにいよいよ首輪を付けることにした。 |
首輪を付ける時、リンダの出産に立ち会った時の事を思い出した。弱々しく、立ち上がる事さえなかなか出来なかったふぶきが、こんなに大きくなったんだなと、まるで我が子に真新しいランドセルを買ってあげたかのような気持ちになり、何だか感慨深い思いでいっぱいになってしまった。 |
ただ、今までなかった首輪をつけられ居心地が悪いのか、しばらくそわそわしていたが、数時間後には大分慣れたのか落ち着いた様子でくつろいでいた。 その首元には真新しいピンクの首輪が光っている。 |