「夜空の川で 夕涼み」

ランタンを消すと、母屋の薄明かりも届かないあぜ道では完全な暗闇になり、自分の手さえも闇に飲み込まれ全く見えなくなった。
だけど、そのおかげでランタンの灯りに邪魔されて見えなかった星々が夜空いっぱいに瞬き、息を飲むほどだった。まだ月が出ていないので、天の川もくっきりと浮かんでいて、村の夜空は天然プラネタリウム状態だった。

思えば小学生の頃から月や星にどことなく惹かれ、毎月開かれる近所のプラネタリウムに通ったり、夏休みに友達と夜遅くまで眠い目を擦りながら流れ星を指折り数えたりと、そういう時間を楽しんでいた。そして、図書館に行った時は星の本を読んでは驚き、ワクワクしていた。




そして、夜になるとそうやって得た知識を思い出しながら、この星たちは想像も出来ないほど離れた場所にあって、今、見えている光は何百年、何千年も前に瞬いた光なんだよなあ」と考えながら、またワクワクしていた。

村は空気が澄んでいる上、山に囲まれているので邪魔する光が届かず、星を眺めるには本当にいい環境でよく満天の星を見る事が出来る。ここまで綺麗に見えると宇宙なんてすごく遠い世界のように感じていたが、すぐそこにあるようでポワーとしてしまう。なんだか、プラネタリウムに通い、本を読み一番ワクワクしていたあの頃の気持ちが蘇って来た。
とりあえず、ベルセウス座流星群がよく見える時期らしいので、ポワーっと空を眺めつつ指折り流れ星の数を数えようかな。

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