「季節の境目 夏から秋へ」

今の時期は、ちょうど季節の変わり目。
日中はまだまだ暑いけど、夜になると一気に気温が下がる。役場の扉のすき間から入って来る夜風がひんやりとして気持ちがいい。涼しくなってうれしい反面、「今年もいよいよ夏が終わるな」と、何だか寂しいような複雑な気分になった。いつの間にかカエルの鳴き声も落ち着き、秋の虫たちの声も響いて来ていた。

村を歩くと所々にまだ青い栗のイガと帽子からほんの少し顔を出した青いドングリが地面に落ちていたりする。さらに、田んぼには赤とんぼが一気に増えた。
村はトンボが多い。都会では滅多に見る事も出来ないオニヤンマもここでは頻繁に出会う。オニヤンマは夏によく見かけるが最近では、沢の砂に尾を浸けて、卵を産みつけ次世代を残す準備に取りかかっていた。オニヤンマが卵を産みつける姿を見るのは26年間で初めてだった。




そして、最近はカマキリもよく見かけるようになった。よく母屋の障子や扉に掴まり鎌を構えている。どうも壁が好きなようだ。見つけて、「久しぶりに見たなあ」と顔を近づけてまじまじと観察していると突然羽ばたいて飛んでいった。カマキリが飛ぶという事をすっかり忘れていた僕は、驚いてエビ反りにのけ反ってしまったが、倒れつつ目で追い観察していた。

カマキリは、鎌を前に構えながら反り立つ普段のあの格好のまま、羽だけを動かして飛んでいた。そして、対象物が目の前に現れたら、鎌を伸ばしがっつり掴んで着陸するのだ。なんだか珍しいものが見れた気がして、若干興奮して、なんだか一人で楽しくなっていた。
こういう日に日に増えて来る「小さな秋」。そんな「小さな秋」を驚いたり感心したりしつつ、村の随所で発見して楽しんでいます。

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